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【完全保存版】ワークウェアがルーツのファッションアイテムまとめ!ジーンズ、カーゴパンツ、ダッフルコートなど

すべての洋服には、原型となる「ルーツ」が存在するのをご存知ですか?

もともと役割があった服を、時代の変遷とともに、日常の街着として着るようになったのが現在の洋服です。

代表的なものでいうと、ジーンズ。

ジーンズはもともと炭鉱の作業服、すなわちワークウェアとして開発されました。

インディゴ染めのデニム生地が採用された理由は、耐久性とともに、インディゴに虫よけの効果があったからです。

そしてこのジーンズをアメリカの映画スターがオシャレに着こなして見せたことで、人々がそれを真似するようになり、ファッションとして定着していきました。

このように、すべての洋服にはルーツがあり、もともと何らかの役割をもってこの世に生まれているのです。

今あなたが着ている服にも、必ずルーツが存在します。

この記事では、「ワークウェア」がルーツの洋服を一挙にまとめてご紹介します。

ただ、その前に「ルーツを知ることの意味」をお話しさせてください。

実は、これこそがこの記事で一番伝えたいことなんです。

ほとんどの人が軽視していますが、真にオシャレな人は、洋服の「ルーツ」を知っています。

初心者の人でも大丈夫。

これから話すことしっかり読んでいただければ、洋服のルーツについて、人並み以上に詳しくなっているでしょう。

周りに差をつけられるオシャレの知識。知っておいて損はないはずです。

ぜひ最後までお付き合いください。

ルーツを知るとオシャレになれる理由

1882年、イギリスで出版された『Costumes of All Nations 』掲載の1830年からの各地の軍装の図板

「ルーツを知ったところで何の役に立つの?」「ただの雑学じゃない?」

こう思う気持ちもわかります。

僕は、年間洋服1000万円購入&自社ブランド複数展開、オリジナルの洋服の製作に加えて、さまざまなファッションメディアを運営しています。

この経験を通して思うことは、ファッションは「ルーツ」を理解することで、よりオシャレに近づけるということ。

具体的には「アイテムを購入するときの審美眼」「コーディネートを組むときの考え方」などを身に付けることができます。

また、ルーツを理解している状態というのは、人よりもファッションに詳しいという状態ですから、自然と自信のある着こなしや立ち振る舞いができるようになります。

あなたが街を歩いているときに「この人オシャレだな」と感じたシーンを思い出してください。

単純に身にまとう洋服がオシャレでしたか?

それはもちろんですが、その人全体から醸しだされる何だかオシャレな雰囲気や、オーラ的なものを感じませんでしたか?

これは内面から湧き出るオシャレさです。

筋トレで理想のからだを手に入れた人が、同時に自分自身に自信を持てるようになることで、見た目以上にカッコよく見えるのはよくある話。

これはファッションにおいても同じで、洋服のルーツを理解している、すなわち人より詳しいという状態があなたの自信となり、内面から醸しだされる「オシャレさ」に繋がるのです。

カッコ良い洋服で着飾るだけではダメ。内面からもオシャレを磨く意識も必要です。

ちなみにあなたは楽天で洋服を買ったことがありますか?

楽天などの大衆向けショッピングには、安易なデザインが加えられた洋服がよく販売されています。

「どこが悪いのかはよく分からないけど、なんかダサいな……。」と感じたことも多いはず。

これってなんでだと思います?

実は、あの独特のチープさの原因は、本来の「ルーツ」にあった機能性を無視して、適当にデザインを加えたことによって発生しているんです。

意味のないポケット、ボタン、謎の柄、刺繍……etc。

もともとそこには必要ないはずのデザインがあるせいで、なんだかわざとらしく感じて、ダサく見えてしまうというカラクリです。

ハイブランドのように素材の説得力があれば、チープさを払拭しつつデザイン性を担保することが可能です。

いかがでしょうか?

このように、メンズファッションでは「ルーツ」を意識することがとても重要なのです。

自然とオシャレな着こなしができるようになり、自信をもってファッションを楽しむことができるようになります。

知らず知らずのうちにルーツから外れたデザインの洋服を着てしまい、人の目から見て不自然に映る。なんて失敗もなくなるでしょう。

すべての洋服にはルーツがあり「それは何を原型としたものなのか?」をしっかりと覚えておきましょう。

そもそもワークウェアとは?

ワークウェアとは、ワーク(work)という言葉のとおり、もともと作業着だった洋服のことです。

いわゆるブルーカラー(肉体労働者)が着ていた洋服のことですね。

製造業、鉱業、農業、漁業、林業などの作業着であり、それぞれの現場で必要とされている機能やデザインをしているのが最大の特徴です。

のちほど詳しく紹介しますが、例えばカーゴパンツ。

カーゴ(貨物船)の作業員が着ていたパンツで、荷物の運搬に耐えられるよう、厚手で丈夫なコットン生地・便利な6ポケット・動きやすいワイドシルエットなどが搭載されています。

ここから分かるとおり、すべての機能やデザインには意味があります。

ワークウェアに共通する特徴

作業着をルーツにもつワークウェア。

共通する特徴はこちらの3つです。

  1. 丈夫な素材(生地)
  2. 機能性
  3. 動きやすいシルエット

どれも実際の作業時に求められたディテールですね。この特徴は現代のアイテムにも受け継がれています。

そして、このワークウェアをファッション的な観点で見ると、総じて「カジュアル」であるといえます。

洋服というものは、装飾やデザインが加われば加わるほど、カジュアルな印象になるもの。

タフで分厚い素材、たくさんのポケットやフードを採用しているワークウェアですから、カジュアルになるのは当たり前です。

なので大人の男性がオシャレに着る服としては、難易度が高め。

カジュアルアイテムは子供っぽい印象を与えるため、何も考えずに大人が着用すると、どこか違和感のあるチグハグな見た目になってしまうからです。

大人が陥りがちな失敗コーデです。

なのでワークウェアを着るときは、全身カジュアルにならないよう、必ずコーディネートにフォーマルな要素を取り入れるようにしましょう。

フォーマルな要素ってなに?

そんなときは、洋服のルーツを思い出してください。

先ほどワークウェア=ブルーカラー(労働者)の洋服と話しましたが、その対極にあるのが、ホワイトカラー(事務労働者)の洋服です。

代表例はスーツでしょう。

つまりブルーカラーがルーツの洋服=カジュアル。ホワイトカラーがルーツの洋服=フォーマル。

といった感じで判別できるというわけです。

もちろん例外もありますが、ザックリこのイメージを持っておくと分かりやすいです。

フォーマルな要素とは洋服のデザインだけではありません。シルエットや素材でもフォーマルな要素はあります。

例えばスーツを思い出すとシルエット(細い)、素材(艶)ですよね?

なのでカーゴパンツであってもガサガサの素材のものよりも艶っぽい素材の方がややフォーマルな印象になります。

少し話が脱線してしまいました。

それでは、ワークウェアがルーツの洋服を、次でまとめて見ていきましょう。

ワークウェアがルーツの洋服一覧

現在の洋服はおもに、下記の7つをルーツ、つまり原型としています。

  1. スーツ&制服
  2. ミリタリー
  3. アウトドア
  4. スポーツ
  5. ワークウェア
  6. 下着
  7. 民族衣装

例えば、テーラードジャケットはスーツ、ポロシャツはスポーツウェアといった具合です。

このブログでは全7つについて解説をしていきますが、今回は「ワークウェア」編。

ワークウェア、すなわち作業着をルーツにもつ洋服たちを一覧でご紹介します。

すべての洋服にもともとちゃんとした役割があり、その機能性によってデザインされているので、知っておくだけで面白いですよ。

覚えて損はない、一生使えるオシャレの知識です。

ジーンズ

ポケット端(擦り切れやすい箇所)を補強するリベットボタン。

ワークウェアがルーツの洋服で、もっとも有名なのはジーンズでしょう。

先述のとおり、ジーンズは炭鉱の作業服として開発されました。

誕生は1870年代、アメリカのゴールドラッシュです。

世界史の授業で耳にしたことがあると思いますが、新しく金が発見された地へ、金脈を探し当てて一攫千金を狙う採掘者が殺到した社会現象ですね。

鉱夫たちの悩みのひとつは、作業中にパンツがすぐに擦り切れてしまうことでした。

この悩みを解決するため、ヤコブ・デービスという仕立て屋が、すでに設立されていたリーバイス社から仕入れたキャンバス生地を用いて、銅リベットでポケットの両端を補強した、作業用パンツ(ワークパンツ)を開発。

これがジーンズの原型です。

これまでにない丈夫なパンツとして、鉱夫たちに大好評でした。

これをキッカケに、多くの会社がこの「リベット補強済みパンツ」の製造・販売を開始。

1900年代に入ると、素材はキャンバス生地→インディゴ染めのデニム生地へと進化。インディゴ染めのデニム生地が採用された理由は、耐久性とともに、インディゴに虫よけの効果があったからです。

近年、アウトドアウェアに防蚊機能をもったものが登場していますが、その原点ともいえますね。

ジーンズがファッション化した理由

出典:Wikipedia(映画『理由なき反抗』で一世を風靡したジェームズ・ディーンのファッション)

ワークウェアとして生まれたジーンズ。

なぜファッション化したのかご存知ですか?

最大のキッカケは、1955年の映画「理由なき反抗」で主演を務めた、ジェームズ・ディーンです。

彼が作中で身につけた、白いTシャツ・赤いナイロンジャンパー・ジーンズという着こなしを、多くの若者たちが真似したことでファッションとして普及していったのです。

当時の娯楽の王様は「映画」。

カッコ良く描かれる生活や風景、そしてファッションは大きな憧れの的。人々は映画スターの着こなしを真似したのです。

ジェームズが履いていたLeeの「101Z」は、今もなお世界中で人気です。

これを現代に置き換えるとすれば、SNSが分かりやすいでしょう。

とくに若い世代は、SNSに登場するインフルエンサーの着こなしに憧れ、真似していますよね?

このようにファッションというものは、その時代の「娯楽」と大きく結びついていて、そのほとんどは若者から流行がはじまるんです。

歳を取ると時代についていくのが大変ですが、オシャレに敏感な人は、SNSも使えますし、若者の間でいまなにが流行っているかをキャッチしている人が多いです。

ようはトレンドに敏感ということです。

ジーンズのファッション化がさらに加速した理由

ヒッピーはカウンターカルチャー(対抗文化)の代名詞

1950年代、ジェームズ・ディーンにより大衆化したジーンズですが、それをさらに加速させたのは「ヒッピー」でしょう。

ヒッピーを知らないという人はいませんよね?

「ヒッピースタイル」「ヒッピーリバイバル」など、一度は耳にしたことがあるはず。

ファッションを語るうえで、超頻出の存在で、数多くのファッションスタイルの生みの親です。

これ、テストに出ます。くらいに重要です。

ヒッピーとは、1960年代後半にアメリカに登場した「カウンターカルチャー(対抗文化)」の一翼を担った若者たちのこと。

社会に不満を抱えていた彼らは、伝統に反抗し、自由を求めて荒野や森林をてんてんと移動しながら生活しました。

彼らのファッションは、ほったらかしたようなドライなロングヘア、バンダナ、絞り染めTシャツ、ベルボトムのジーンズ、といったナチュラルで野性味のあるスタイル。

反戦の意思をあらわすため、あえてミリタリージャケットを着用したりしていました。

1960年代後半は、世界中で反戦運動が盛んになった時代です。

彼らはその火付け役としても有名で、その刺激的なパフォーマンスはメディアにも大きく取り上げられました。

「自由と愛」を尊重するヒッピーのスタイルは、瞬く間に全世界に広がり、世界中の若者たちがヒッピーのファッションを真似するようになります。

こうして、ヒッピースタイルの象徴であったジーンズは、若者たちの自由の象徴として、より身近なファッションとして定着。

ジーンズが若者たちのユニフォームになったのです。

カウンターカルチャー(反抗文化)とファッションは、切っても切れない関係です。

カーゴパンツ

丈夫なコットン生地と6ポケットが特徴のカーゴパンツ

次はカーゴパンツ。

カーゴパンツの「カーゴ」には、貨物船の意味があります。

貨物船や港で働く作業員たちが身につけていたパンツが、カーゴパンツのルーツです。

カーゴパンツの特徴は、太ももの両サイドに付けられた大きなポケット。

シックスポケットパンツとも呼ばれ、道具の持ち運びに役立ちます。

腰をかがめた時にも物の出し入れがしやすいように、太ももに付けられています。

もう一つの特徴は、厚くて丈夫なコットン(綿)生地。

荷物の運搬や船上での海風にも耐えられるよう、この生地が採用されています。

ぶかぶかとしたゆったりシルエットも特徴。

なんでか分かりますか?

ヒザの曲げ伸ばしや、座って作業するときにも、パンツが足に引っ掛からないようにするためです。作業時の快適さを追求したデザインというわけですね。

カーゴパンツがファッション化した理由

貨物船のワークウェアであったカーゴパンツが、なぜファッション化したのでしょうか?

そのきっかけは、ミリタリーに採用されたからです。

1940年代に入ると、耐久性のある素材・便利なシックスポケット・動きやすいシルエットという機能性の高さから、アメリカ軍のパラシュート部隊のユニフォームに採用されます。

これを皮切りに、各国の軍隊で戦闘服ズボンとして採用されはじめ、1951年のアメリカ陸軍で採用された、M-51戦闘用ズボンでほぼ現在の姿になりました。

これにより、ミリタリーアイテムとしても認知度が上昇。

当時はミリタリーアイテムをファッションに取り入れる若者が増えはじめてきていたため、彼らを中心に一般層へと広がっていったのです。

ルーツはワークウェア(作業着)だけど、流行のきっかけはミリタリー(軍服)というわけです。

ちなみにカーゴパンツと聞いて、あなたは何色を思い浮かべますか?

カーキ?それとも迷彩ですか?

カーゴパンツの色が、カーキをはじめとする深緑・紺・黒などのくすんだ色、迷彩が多い理由もまた、ここまでに説明したルーツによるものです。

ワークウェアは重労働により汚れやすいため、汚れの目立つ白などの明るい色ではなく、カーキなどのくすんだ色が採用されます。

また、ミリタリーとして採用されたときも、戦闘で目立っては敵にやられてしまいますから、自然と同化する迷彩などが選ばれるわけです。

こうして一般ファッション化したカーゴパンツ。

いまでは定番アイテムの一つとして、さまざまなブランドから、さまざまなデザインのカーゴパンツが発売されています。

有名なワークウェアブランドは、カーハートやディッキーズなど。

ちなみにカーゴパンツのなかには、テーパードやスキニーのような、スリムな形のものも出てきています。

これらは本来のルーツとは違ったデザインなので、人の目には違和感に映りやすい。なので個人的にはあまりオススメができません。

とくにファッション初心者は、カーゴパンツを買うのであれば、できるだけルーツに忠実(厚めのコットン生地・ゆるめのシルエット・カーキに似た色)なものを選んだ方が無難でしょう。

先述したとおり、ハイブランドなどが素材にこだわり意匠を凝らして作ったものであれば、ルーツから外れていても大丈夫。

ファッションに自信のある方は、ルーツから外れたデザインのカーゴパンツを選んで全然OK。

ダッフルコート

次はダッフルコート。

北欧の漁師の仕事着がルーツの、れっきとしたワークウェアです。

フロントはトグルといわれる浮き型の留め具と、対になるループが付けられています。

ボタンとは違い、手袋をしたまま着脱できることができ、また前合せの右前・左前を簡単に入れ替えることもできます。

船上での利便性を追求した結果、生まれたデザインというわけですね。

また、北欧の漁師がどんな環境で仕事をするのか?思い浮かべてみてください。

そうです、ものすごく寒いんです。

だからダッフルコートには、防寒対策となるフードが付いていて、厚手のダッフル生地が採用されているんです。

ダッフルコートがファッション化した理由

北欧の漁師の仕事着が、どうしてファッション化したんでしょうか?

実はここにもミリタリーが絡んでいて、第二次世界大戦時にイギリス海軍が防寒コートとして採用したのがキッカケ。

大戦後、たくさんの余剰品が市場に出回ったことで、広く庶民が着るようになったのです。

ここでピンときた方は、とっても鋭い。

実はミリタリーの余剰品が民間に払い下げられることでファッション化したアイテムって、結構多いんです。

日本でジーンズが普及したのも、アメリカ軍の中古ジーンズが広く出回ったためです。

「ミリタリーを解説した記事」にも書いていますが、モッズコートなんかも同じ。

ベトナム戦争で大量に作られた余剰品や、帰還兵の中古品が、市場に安価で流れたことで、大衆ファッション化したんです。

リーズナブルに手に取りやすかったというのも、一般に普及した大きな理由の一つです。

カバーオール

カバーオールは、英語では「つなぎ」を意味します。

なので本来はトップスとボトムスが繋がった服のことになりますが、現代はその意味が変わり、ワークウェアを模して作られたトップス(アウター)の総称として使われています。

ジージャンなどもカバーオールの一種です。

要はワークテイストの「シャツジャケット」はすべてカバーオールということですね。

そんなカバーオールの起源は、18世紀。

当時の農夫、鉄道作業員、鉱山労働者などの多くのワーカーの作業着として使われていました。

デニムなどの丈夫な素材が採用されているのは、汚れや傷から身を守るため。少し長めの着丈になっているのも、身を守る範囲を広げるための、意味のあるデザインです。

さらに前身にたくさんのポケットを付けることで、作業時の利便性をより高めたというわけです。

当時のワーカーにとって、革命的で機能性の高いウェアでした。

カバーオールがファッション化した理由

多くのワーカーたちの作業着であるカバーオールが、なぜ一般ファッションとして広がったのでしょうか?

諸説ありますが、大きなキッカケとなったのは、1889年創業のブランド「カーハート」といわれています。

カーハートは、アメリカで古くから愛されているワークウェアブランド。

当時すでにワークウェアブランドとしての地位を築いていたカーハートは、1923年に「カバーオール」を発表します。

これによりカバーオールというアイテムが一般層まで広く認知されることになり、ファッションとして定着したというわけです。

ちなみにこのカバーオール、当時の鉄道員から絶大な人気を得ていました。そのことから、レイルロードジャケット(railroad jacket)なんて呼ばれ方もします。

エンジニアコート、バーンコート、オーバーシャツなども、カバーオールの一種です。

オーバーオール

オーバーオールは、胸当てとサスペンダーが付いた、つなぎ型のパンツです。

通常のつなぎとの違いは、上半身は胸当てのみが付けられていて、サスペンダーで吊って着用するところ。

ゲームキャラクターのマリオの衣装としても、世界中でおなじみですね。笑

オーバーオールのルーツは、19世紀半ばのアメリカを席巻した、ゴールドラッシュ。

金脈を求めて働く、炭坑夫たちの要望に応えて誕生したアイテムです。

あれ?ジーンズのルーツも同じじゃなかったっけ?

と思ったあなた、大正解です。

実は、オーバーオールはジーンズの前身。ジーンズより先に生まれているんです。

オーバーオールをより着用しやすく改良したのが、ジーンズです。

炭坑夫のワークウェア として作られたオーバーオールですが、その後は、塗装職人や大工などのワークウェアとしても広がっていきます。

最大の特徴は、胸当てや腰周りなどいたるところに付けられたポケット。

これは作業の道具を入れるために付けられたものです。

例えば、左腰の部分についている紐は「ハンマーループ」と呼ばれ、ハンマーを入れて持ち運べるように作られています。

右腰の部分についている縦長のポケットは「スケールポケット」と呼ばれ、定規を入れて持ち運ぶためのものです。

まさにワークウェアとして生まれた洋服です。

オーバーオールがファッション化した理由

ゴリゴリの作業服であったオーバーオールが、なぜファッション化したのでしょうか?

一つは、女性労働者が増えたことがキッカケ。

もともと男性用として生まれたオーバーオールですが、女性の社会進出により、女性もオーバーオールを着用するようになります。

これにより、ファッション性の高いデザインのものが生産されるようになっていったんですね。

だからオーバーオールは男女問わず親しまれているというわけ。

そして1990年代に入ると、アメリカ西海岸のラッパーを中心に、オーバーオールを取り入れた着こなしが流行します。

上の方で、ファッションは「映画」などの娯楽と結びついているとお話ししたのを覚えていますか?

実はファッションは「音楽」とも密接に結びついています。

人気ラッパーのファッションは、若者の憧れの的。

ラッパーがオーバーオールをカッコ良く着こなしたことで、若者たちがこぞってそのファッションスタイルを真似たのです。

こうしてオーバーオールは、ファッションアイテムとしての市民権を得たというわけです。

これ以降、世界的ブランドのコレクションにもオーバーオールが登場するようになりました。

ワークシャツ

出典:Dickies公式ホームページ

次はワークシャツ。

ワークシャツは、アメリカの労働者(ブルーカラー)のために作られた作業用のシャツのことです。

コットンやデニムなどの丈夫な素材を使用し、縫製もしっかりとしているため、耐久性に優れているのが特徴。

また両胸にポケットを施しており、身幅はややワイドになっています。

上の方でお話しした通り、ワークウェアに共通する特徴は、以下の3つ。

  1. 丈夫な素材(生地)
  2. 機能性
  3. 動きやすいシルエット

どうでしょう?

ワークシャツにも漏れなくこの3つの特徴が備わっていますよね。

ワークシャツは丈夫で機能的で使いやすいですが、フォーマルなシーンで活躍するドレスシャツとは正反対の性格をもっているシャツです。

ワークシャツをコーディネートに取り入れるときは、カジュアルになり過ぎないよう、パンツには黒のスラックスを選んであげるなどして、フォーマルとのバランスを取るのがオススメです。

エプロン

これはちょっと番外編的になりますが、エプロンもワークウェアを起源にもつアイテムです。

実はエプロンも、一部ではファッションアイテムとして定着しています。

パッと思い浮かばないと思いますが、メイド服や、メイド服をモデルとしたロリータ服には、エプロンがファッションアイコンとして取り入られていますよね?

まだまだ特殊なジャンルですが、エプロンもファッションアイテムの一つです。

そんなエプロンのルーツはというと、実は、数千年前の古代エジプトまで遡ります。

当時は、王様などの支配者が権力の象徴として着ていて、宝石が散りばめられていました。

それが中世ヨーロッパに入り、メイドをはじめ、労働者、商人、職人など、さまざまなジャンルの仕事着として着用されるようになったのです。

エプロンの特徴は、服の上から前掛けとして着用できるところ。

下の服が汚れたり傷付いたりすることを防ぐという目的のほか、衛生面から着られることもあります。

大小さまざまなポケットが付いているのも特徴で、調理、手工業、美術制作など、仕事の内容にあわせた便利な仕様になっています。

まさにワークウェア(作業着)がルーツの洋服ですね。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

いかがでしたか?

すべての洋服には原型となるルーツが存在します。

今回はワークウェアがルーツの洋服を紹介しましたが「一つ一つのデザインや機能に理由がある」ということがよく分かったと思います。

ジーンズにインディゴ染めのデニム生地が採用された理由は、ゴールドラッシュの炭鉱夫の悩みを解決するために、耐久性と虫よけの効果を搭載したからなんですね。

冒頭でもお話ししましたが、これはただの雑学ではなく、オシャレに繋がるファッション知識です。

ずっと使えるオシャレの知識なので、ぜひ覚えておきましょう。

もっと詳しい話が聞きたい人は、下記の記事をどうぞ。

僕のブログでは『オシャレのレシピ』と称してオシャレの理論を連載しています。

ファッション初心者の方であってもオシャレを楽しめる内容になっていますので、ぜひ覗いてみてください。

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