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オシャレのレシピ【vol.6】〜洋服の「トレンド」を学ぼう(後編)〜

はじめに

洋服は3つの要素「カラー」「ルーツ」「トレンド」でできています。

前回の記事では、「トレンド」について簡単にお話ししました。

トレンドは時代とともに移り変わるということを学びました。

今回はその後編として、トレンドについてより詳しく学んでいきましょう。

「トレンド」は落ちてくる

2021年秋のグッチ(出典:FASHION PRESS)

「トレンド」とはいいかえれば「流行」ですが、すでに流行っているものは、本来的には「最先端」ではありません。

最先端とは、ランウェイでコレクションを発表しているプラダやグッチ、ルイヴィトンといったハイブランドが発表するデザインのことであり、それが流行になるには、しばらく時間がかかります。

流行とはある意味作られるものです。

ハイブランドがつくりだした新しい価値観を、国内のドメスティックブランドが参考にし、日本人が好みそうなアレンジを加えてローカライズします。

このあたりのレベルで売れているものを、次に、量販店がマネをし始めます。

そして洋服に興味のない人たちにまでいきわたると、そのトレンドは一周して終焉を迎えたことになります。

ここでいう量販店にユニクロを含むかどうかは、意見のわかれるところですが、一つ目安があって、ユニクロと著名デザイナーが一緒につくるライン、例えば、「ユニクロU」「+J」は量販店のレベルではないという線引きをしておいてもいいでしょう。

本題に戻りましょう。

前回の記事(vol.5)で、トレンドは細い大きいといったシルエットに影響するものと、シンプルか装飾的かといったデザインの2点に影響を与えると書きました。

次に、「シンプル or 装飾的」の話をしておきましょう。

2010年代はノームコアと呼ばれるシンプル優勢のトレンドがありました。

全身、無印良品でそろえた服をイメージするとわかりやすいでしょう。

ノームコアは「究極の普通」とも訳されるようにシンプルを突き詰めたスタイルです。「着飾る」の対極です。

スティーブ・ジョブズのようにファッションではなく、人の生き方考え方に焦点を置き、服装は二の次でOKというライフスタイルでもあります。

日本では、そのファッションにのみが注目されて拡大解釈されて伝わった側面もありますが、端的にいえば、シンプルなコーディネートです。

そして現在、このノームコアの反動がきています。

ハイブランド、たとえばグッチが近年提唱しているスタイルは、シンプルとは逆のものです。

動物モチーフや柄などロマンチックでとても夢想的です。素人目には雑多に映りかねない世界観を毒々しさと可憐さの表裏一体の完璧なバランスで表現しています。

こういった「最先端」がどこまで街着に落とし込まれていくかはわかりませんが、モードの「最先端」では、シンプルとは逆の表現が行われていると覚えておいてください。

「トレンド」は相互作用でできている

ファッションとは、基本的に、新しい価値観の創造です。

とくに女性の社会進出に伴って、これまであまりにも窮屈だった、女性を規定する物差しに対して異議を唱え続けてきた歴史と言っていいでしょう。

それは、例えばコルセットからの解放であり、ジャケットやパンツといった男性が着ていた衣服を女性が着られるように価値観を刷新する提案であり、女性がより活動的に、より美しくあるための運動でもありました。

ランウェイで行われているハイブランドのコレクションでは、ときに我々一般人の理解を超えた衣服が登場します。

理解を超えているということは、既存のものではない新しい価値観ということです。

例えば、80年代にコムデギャルソンやヨウジヤマモトが提唱した全身黒のスタイルで穴が開いた非対称なデザインは「黒の衝撃」と呼ばれ、発表当初はなかなか受け入れられなかったようです。

それまでのヨーロッパの女性性を強調した服からは一転、身体のラインを隠し、ボロをまとったような衣服は従来の価値観に抗い、疑問を投げかけるものでした。

さて現在、世界規模で新しい価値観の模索が始まっています。

例えば、ダイバーシティであったり、サステナブルであったり、キーワードはたくさんあります。こういった価値観をいちはやく取り入れ、ファッションで表現してきたのがモードの世界なのです。

2019年秋冬のステラマッカートニー。エコファーが用いられている。(出典:FASHION PRESS)

例えば、昨今のトレンドはビッグシルエットだと指摘しました。

また、洋服の細部にこった装飾的なデザインも流行しています。

ステラマッカートニーではこういったトレンドを底流に、サステナブルの観点からエコファーを使ったコレクションを発表しました。

動物の皮革を使わない化学繊維を用いたエコファーは、リアルファーに対する新しい価値観です。

ビッグシルエットでかつ装飾性の高いベルトをまとったルックは、とても斬新なものでした。

デザイナーのステラ本人がベジタリアンでもあることからも、「人と社会や地球環境のことを考慮して作られたモノ」、つまりエシカルな意識が非常に高いブランドともいえます。

「ビッグサイズ」「サステナブル」「装飾性」これらのトレンドが見事に合致したアイテムと言っていいでしょう。

このように、トレンドはあらゆる価値観の相互作用のなかでつくられていきます。ファッションとは、人間の潜在意識下にある言語化できない価値観をすくいとっていく作業でもあるのです。

オシャレのレシピ【vol.6】のまとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

この記事では「トレンド」について深く学びました。

これにて、洋服を構成する3つの要素「カラー」「ルーツ」「トレンド」の勉強は終了です!

この3つはオシャレになるために欠かせない基礎知識になるので、まだお読みでない方は、ぜひvol.1〜6まで目を通していただければと思います。

次回からは、オシャレのレシピ「実践編」に移ります。

オシャレの方法をより具体的に学んでいきましょう。

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